「佐倉に聞いたら分かるかなー…絵菜じゃ分かんないだろうし…」


「さくら、って」


「あ、ごめん
なんか言った?」


「…さくら、って
この前一緒にいた奴?
髪茶色い、背の高いヤツ」


「あ、そうそう!同じ授業取ってること多くてね、ノートコピーさせてもらおうかな〜と…」


「ふーん」



ただでコピー取らせてくれるかな、
昼ごはん一回くらい奢ったらいけるか。

いやでもまた嫌味言われるのいやだしなあ、アイツ一言多いんだよな。


「佐倉って奴、彼氏なの?」

「へ?彼氏?いないけど?」


答えた瞬間しまった、と思った。

嘘でも見栄張って、そうよ、とでも言えばよかった。


そんなみみっちい心を見透かすようなぱっちりとした二重の目が、あたしをじっと見つめた。