「柚璃」

「おわっ、何…びっくりしたぁ」

「…さんきゅ」


突然エプロンの端を引っ張られて、バランスを崩して後ろに倒れかけた。

そんなあたしを受け止めるように背後に立っていた絢くんが
小さくつぶやいたお礼の言葉。


なかなか素直じゃないか。


「いーのいーの、…あれ?もしかして今日から夏休み?」

「んなわけないじゃん。
テスト期間なんだよ、今日から1週間」

「あー…そうなんだー…」


テスト週間かあ。

高校生がテスト週間に入ってるってことは、
あたしももうすぐテスト期間なわけで。


幸いあたしの学科は持ち込みだったりレポート提出がほとんどなんだけど、


持ち込むものがない。

レポートのテーマ、知らない。


…そろそろ対策しないと。