まだ眠ったままの子どもが寒くないように、着ていたカーディガンの中に隠すようにして抱っこした。
首に回った腕は細くて頼りないのに、やけに力が強い。
「柚璃、腕疲れたんじゃねえのか」
「大丈夫大丈夫……っと、」
さすがに腕が痺れてきた。
ずり落ちそうになった子どもをひょいと抱き上げてくれた絢くんにありがとう、と声をかけた。
その時、かがんだついでのように合わせられた唇に思わず目を見開いた。
「ちょ、ここ外だって…!!」
「柚璃が可愛いのが悪い。我慢できなかった」
悪びれなく言って笑った絢くんは、ゆっくりと前を歩いていく。
夕焼けの中、子どもを抱えて歩く絢くんの姿を見て目を細める。
子どもを抱えて歩くその背中が、あたしの未来でもう一度見られたらいいなあなんて
そんなことを考えたのだった。
◎おわり◎

