恐る恐るその唇に触る。


…あー、やわらかい。


可愛い。なんでこの子男の子のくせに、思春期男子のくせにこんな可愛くて綺麗なんだろう。


そんな変態臭いことを思いながら手を離そうとした瞬間、


しっかりと閉じていたはずの目がこちらをじっと見つめていた。




「んなっ、おおおおおお起きてたの…!?」


もの凄い勢いで身を引いたけど遅かった。


しっかり掴まれた手は離れる様子もなく、
よっこいしょ、なんて言いながら身体を起こした絢くんがひょいと顔を近づけた。


「絢くんさっきのは、ちがっ、」


途中まで出した言葉は彼の唇に飲み込まれ、
ゼロになった距離に目を見開いた。


金縛りに遭ったように固まっていたあたしは、下唇をぺろりと舐められた瞬間覚醒した。


「な…!!何してんの!!!!?」

「あ?して欲しかったんじゃないの」

「いや、そうだけど…っ、」


もうパニックで自分が何を言っているのかもわからない。

そんなあたしを目を細めて見つめる絢くん。

高校生のする顔じゃない。