「…ふーん、柚璃不安なんだな」

「……何よ、なんか言いたいことあるわけ」

「すげぇ重いこと言っていい?」


その言葉に顔を上げると、
身を屈めた絢くんの顔が近づく。

頬に軽く触れた唇に気を取られて、耳元で囁かれた言葉を理解するまであと5秒。



「不安だろうとなんだろうと、柚璃が俺と同じ気持ちでいてくれて嬉しい」



心底嬉しそうに笑った絢くんは、いたずらっ子のように目をキュッと細めて笑った。


あ、その顔初めてみた。




「……絢くんって子どもだけど大人だねー」


「はぁ?意味わかんねぇ」



付き合い初めて1ヶ月。

自分と同じ気持ちでいてくれる人がいる幸せに、気付きつつある冬の日だった。



◎終わり◎