うざいでしょ?


言いながら、背中に引っ付いたまま絢くんの顔を見上げる。

その瞬間、身体ごとあたしの方を向いた絢くんと目があった。


あっという間に向かい合わせに抱き合う形になったせいで、思わず距離を取ろうと身を引く。

そんなあたしを逃がさないとでも言いたげに、ぐっと腰に手を回した。


「…柚璃も?柚璃も不安になったりしてんの?」

「当たり前じゃん。絢くんモテるし若いし、学校だって違うし不安に決まってんじゃん」

「……そっか。
俺と一緒だ」


言いながら嬉しそうに笑った絢くんの顔に、
心臓がぎゅうっと掴まれたような気持ちになった。



「今日だってさ、お客さんにライン聞かれてたじゃん…絢くんが愛想振りまいたらみんな絢くんのこと好きになっちゃう」

「接客だから無愛想にできるわけねぇだろ」

「そうだけど…」

「どこの女に好かれようと俺は柚璃が好きだから問題ねぇじゃん」


そ、そうだけど。

なんでこういうことをさらっと言うのかな、この子は。


赤くなっているだろう顔を絢くんの胸に埋めて隠す。
なんかいい匂いするし、何だこの人。完璧か。