からりと笑ったヨルくんの横顔を睨みながら、うどんをさっさと食べ終わることだけを考えようと努力することにした。


そう、あたしより遅れて社会人になったヨルくんはなんとあたしと同じ会社に入ったのだ。

あのハサミ事件からヨルくんと疎遠になるかと思ったのも束の間、

あの後すぐに何度も謝ってくれたヨルくん。

そんな彼を突き放すことも出来ず、結果前よりもヨルくんに懐かれるという謎の関係になってしまった。


もちろん絢くんがそのことにいい顔をするはずもなく、未だにヨルくんとはケンカばかりしている。


「ゆりちゃんはねー、優しいんですよぉ」

「ふんふん」

「俺にとってはもう…オカンみたいな?そんな感じです」


こんなデカくて可愛くない子ども産んだ覚えはない。

そう思いながら勢いよくうどんを啜ると、案の定むせた。


ゴホゴホと咳き込むあたしの背中をさするヨルくんは、さっとお茶を差し出す。



「…やっぱり2人、お似合いだと思うけどなあ」


後輩ちゃんがポツリとつぶやいた言葉に冗談じゃない、と心の中で叫んだ。