「小松先輩ってぇ、モテますよね」

その言葉に思わず口に入れたうどんが飛び出た。

あたしの反応にドン引きしながら後輩ちゃんがティッシュを差し出してくれる。
手渡されたティッシュで口を拭きながら、
″モテる″という言葉に首を傾げた。


「だってそうじゃないですか、ほら経理課の一個下のー…」

「ゆーりちゃん」

「…あ、ほら。噂をすれば」


聞き慣れた声に後ろを振り向くと、お盆を持ったヨルくんが嬉しそうに顔を綻ばせていた。

ヨルくん、と名前を呼ぶとするりとあたしの隣の席へ座った。


「安藤さん、ですよね?
小松先輩と付き合ってるんですかぁ?」


上目遣いで聞いた後輩ちゃんにちょっと、と咎めるような声が出てしまう。


好奇心がありありと出ている質問にあは、と笑ったヨルくんはゆるりと頭を振った。


「ゆりちゃんと俺が?ないない、それはない
ゆりちゃんにはちゃあんと彼氏がいるもんねー?」

「ちょっとヨルくん!あんまおっきい声出さないでよ」

「事実じゃん」