◎◎


禍福は糾える縄の如し、
こんな言葉を知ったのはいつのことだっただろう。

悪いことの次には幸せが待っている、そういう意味だったと思う。


その言葉とは裏腹に、ここ最近のあたしには悪いことしか起きていなかった。




絢くんとまともに喋らなくなってから、バイトのシフトがあれだけ被っていたのが全く被らなくなった。

まさか絢くんが店長に頼んだんだろうか。


そう思って店長に聞いてみると、学校が始まって忙しくてバイトに入れないと連絡があったらしい。


それが嘘なのか本当なのか、あたしには分からないけど。


「はあ…」

「柚璃ちゃん最近ため息多いわねえ」


店長に言われて力無く微笑んだ。

あなたの甥っ子に全然会えてないからです、とは口が裂けても言えない。