″ 最低だね。メグは本気だよ、絢くんのこと。だから邪魔しないでよおばさん″


メグちゃんの言葉は今まで浮かれていたあたしの気持ちを突き落とすには十分な言葉だった。


佐倉のことといい、
あたしは人の気持ちにちゃんと向き合ってなかったんだ。


「柚璃?何してんだよ店の入り口で」

「…絢くん」


ぼーっとしたまま歩いて、たどり着いたのはバイト先。

今日15時からバイトだっけか。

こんな時でさえ、身体はきちんとバイト先へ向かっているのがなんだか可笑しかった。


「なんか顔色悪いな」

「…大丈夫よ」

横を通り過ぎようとした瞬間、ぐっと腕を掴まれた。


「どこが大丈夫なんだよ
なんかあった?」

「なんでもないってば…着替えてくる」

「柚璃」


ああもううるさい。

誰のせいで、こんな顔してると思ってるんだ。


お門違いな恨みつらみが心の中に湧いて出て、どんどん手が付けられなくなっていくような気がした。