隙だらけと言われてまあ否定は出来ない。

うん、たしかにあたしは隙だらけだ。


だからと言ってその隙につけ込んでいいなんてそんなことは許されないんだぞ。


「…絢くんはねえちゃんのじゃなかったわけ」

「んー…ねえちゃんの、ってかねえちゃんが絢くんにすげえ執着してるだけ、って感じ？

俺ねえちゃんのことすげぇ好きじゃん。
だから絢くんがねえちゃんのになったらみんなハッピーじゃんって思ってたのね」


俺、ねえちゃんのためだったらなんだってできるし。

そう言ったヨルくんの目は笑っていなかった。


まあまあハードなことを言われてる気がする。

これがヨルくんの当たり前だと言わんばかりに平然と口を動かしているから、

とりあえず黙って聞いておく。



「だけどさぁ、なんか最近ちょっと違うっていうかさぁ」


そこまで言ってた不思議そうな顔であたしをじっと見つめる。


「ねえちゃんのがずっと好きなんだけどさ、ゆりちゃんのことも好きなのね。
だからゆりちゃんと絢くんが好き合ってるならそれでいいのかなあなんて思ってんだよね最近」

「す、好き合っ…」


その言葉に動揺してしまって、あとの言葉は頭に入ってこなかった。

なんてことさらりと言うんだこの子は。