あまりにも突然しゃがみ込んだあたしに反応できなかったようで、

絢くんはワンテンポ遅れてあたしの肩を支えてくれた。


「ちょ、大丈夫か?」

「えっ、と、大丈夫
うん、大丈夫…」


大丈夫じゃない。

何も大丈夫じゃない。


今の言葉、夢じゃないよね?
揶揄ってるとかじゃないよね?


もしそうだったら泣いて喚いてやる、と本気で思った。


「柚璃、まさかもう一回言えとか言わねぇよな?ちゃんと聞いたよな?」

「…もう一回言って、って言ったら言ってくれんの?」

「殺すぞ」


うわぁ、これが仮にも好きだとか言った相手に吐く言葉なのか。

この人本当にあたしのこと好きなわけ?

 
さっきのセリフが嘘なんじゃないかと疑った瞬間、床にへたり込むあたしを覗き込むようにして顔を近づけた。


「…柚璃、照れてる?顔真っ赤」


ふ、と嬉しそうに笑った顔にすぐさま息が苦しくなる。


「あーもう可愛い。可愛い好き死ぬ」


…誰かこの綺麗な悪魔の口を止めてください。