『風菜ちゃん?』
今日の放課後、一人で帰ってると偶然、水無瀬くんに会った。
水無瀬くんは、制服姿で手にはビニール袋をぶら下げている。
『水無瀬くんはお買い物に行ってたの?』
『そう!姉貴にパシられて。風菜ちゃん、これあげる!』
そう言って渡されたのは青い炭酸。
シュワシュワと音をたてる炭酸を見て私はごくりと喉を鳴らす。
『それ、先輩がおすすめしてたやつ。これを好きな人と飲むと仲が縮まるらしい。』
『……そうなんだ』
好きな人、そう聞いて頭に浮かんだのは楓くん。
すると、
『……チッ…』
水無瀬くんの方から舌打ちのような音がした。
水無瀬くんは何かにいらついて舌打ちをしたのだろうか……?
だけど、彼の顔はとても笑顔だ。
『今さっき、好きな人のこと考えてたでしょ?』
『……うん…』
水無瀬くんが私の腕を引く。
『俺のこと、さっさと好きになれよ』
水無瀬くんの顔がどんどん近づいてくる。
私には楓くんが居るから、避けないといけない。
間違ってもキスなんてしちゃいけない。
だけど、いざとなると足が動かない。
もうダメだ……。
そう思った時、後ろから声が聞こえた。
『キスなんて絶対、僕以外にはさせない』
その声は聞き覚えのある声で私には分かった。
楓くんの声だ!
『楓くん、邪魔しないでくれる?』
『そっちこそ、風菜をたぶらかさないで』
『風菜、行こ』、楓くんに腕を引っ張られる。
そして、家についても私の手を離さないで、楓くんの部屋に連れ込まれ、今に至る。



