「楓くんと付き合ってるんでしょ?」
「……はい」
昼休み、裏庭でお昼ごはんを咲と食べている。
なんとかして、楓くんと付き合っていることを誤魔化そうとした。
だけど、咲には敵わない。
バレちゃいました。
「で、いつから?」
目をキラキラさせている咲。
「先週から」
「なんで、言ってくれなかったの!」
「だって、秘密にしたかったから……」
楓くんとつりあっていないことなんて、自分が一番、分かってる。
だから、咲にも学校のみんなにも秘密にしておきたかった……。
楓くんとつりあう人なんて、この学校には私以外にたくさん居るから。
「私には、バレてたけどね?」
「え?」
「この前してきた風菜の友達の相談って、本当は風菜自身の相談でしょ?」
なんで、バレてるんだ……?
「どこまで知ってるの?流石に咲が怖いよ」
「怖がらないでよ。ただ、風菜が分かりやすいだけ。楓くんと同棲してるでしょ?あとは……」
口に含んだご飯が変なところにつっかかって、咳き込む。
「同棲じゃなくて、同居だから!」
「付き合ってるんだから、『同棲』でしょ」
あえて『同棲』という単語を強調しているように聞こえる。
「風菜、顔真っ赤じゃん。可愛い〜」
ツンツンと肩をつついてくる咲。
絶対、私のことからかってる……。
「からかわないでよ!」
咲の肩をつつき返す。
「で、風菜は楓くんのこと、どれくらい好きなの?」
「それ言わないとだめ……?」
「だめに決まってるでしょ」
落ち着くためにふっと一息を吐く。
私は楓くんのことが大好きだ。
大好きっていう単語一つじゃ収まらないくらい。
「……一言じゃあらわせないくらい」
「のろけだね」
「咲も、いっつものろけてるじゃん!」
咲と親友で良かった。
二人で笑い合う時間は本当に楽しくて、時を忘れてしまうほど。
楓くんに返事をする勇気がなくて、困っていたとき、背中を押してくれたのは咲だった。
「ありがとね」
「親友なんだから当たり前」
私と親友で居てくれてありがとう。
出会えて幸せです。



