「風菜、おはよう」



「……ん」




楓くんと付き合い始めて、一週間が経過した。




私達の生活は特に変わっていない。




いつものように帰宅して、二人でご飯を食べて。




変わったところといえば、キスやハグをしている
というところだろうか……。




「……楓くん、私を起こしてくれるときどうしてキスするの?」




「それは、風菜の寝顔が可愛いから」




付き合ってからというもの、楓くんから私を起こすとき必ずといっていいほど、キスされます。



嫌ではないんだけど………、びっくりするから困る。



「キスは起きてるときにお願いします」




「嫌だ。僕、起きている風菜にも、寝ている無防備な風菜にもキスしたい」



ドキドキと心臓が高鳴る。



好きな人と一緒に住むのはとても楽しい。




だけど、『好きな人』しかも『彼氏』の楓くんの行動一つ一つがかっこよくて見惚れて、心臓が休まらない………。




これが私の悩みだったりもする。




「……だめ?」




今だって、私のベッドの前でしゃがんで上目遣いで私を見ている。



そんな顔されたら、断れない……。



 
「……いいよ」




「ヤッター!!」




楓くんがベッドで布団の中に入っている私の上にまたがる。



「実は今日ね、風菜のこと早く起こしたの」


  

「用事があるの?」



「ううん。イチャイチャしたかったから」




楓くんが私の首元を指でなぞる。



「………あ…」




くすぐったくて口から思わず変な声が出てしまう。


  
楓くんはそんな私を見て、満足したかのように微笑む。



「キスマーク、消えかかってるね」



「そうかな?」



「うん。もう一回つけ直さないとダメだね」




私の首元に顔を埋め、甘く噛む。



チクッと痛みが走る。




少しだけ痛いけど……



「楓くん、もっとして?」



もっと、もっと、してほしい。




「いいよ。風菜は僕のものだって、たくさん分からせてあげる」




首元に沢山キスが落とされて、噛まれて、私は楓くんのものだと実感して。




「その顔、他の人の前で見せたら大変だね」



「……その顔って?」



「頬を真っ赤にしてかわいい顔」
 


「……んぁ…」



まるで、噛みつかれているようなキスをされる。



たくさん、たくさん。



「……ハァ、ハァ」



息をするひまがなくて、苦しい。



「風菜、息して?」



楓くんがキスをやめて私の頭を撫でる。



もっと、もっとして。




今はもっと、愛されたい。




「やめないで……」



「けど、苦しいでしょ?」




楓くんの背中に腕を回し、首元に噛みつく。



「もっと、もっと、愛されたい」



楓くんは目を見開いたあと、まるで唇を食べるかのようなキスを落とす。




「もう、余裕ないから、やめてって言ったってやめないよ?」



「うん」




朝から愛し合って、学校に遅刻しかけたのはまた別の話。