「水無瀬くんって、風菜のこと狙ってる?」




……狙っているってなんですか?



「それは、もちろん」




私の頭上で会話が飛び交う。



その会話を私は理解することが出来ないでいる。



「そう。だけど、ごめんね」



楓くんが私の見たことのないような意地悪な顔をして微笑む。





「風菜は僕のものだから」




楓くんの私を抱きしめる力がぎゅっと強くなる。




……ドクンッ……、胸が大きく高鳴る。




いつも可愛い楓くんが今日はなんだか、かっこいい。



「行こ」



腕を引っ張られて私は楓くんについていく。

 


「風菜ちゃん!またね」



水無瀬くんの声が聞こえて、私はとりあえず手をふった。