「ここだよ。」
石家先生は肩をすぼめながらアパートを右手で指さした。
「先生、ここに住んでいるんですね。」
私も寒さで肩をすぼめアパートを見上げながら言った。
「そう。俺ここの2階に住んでるの。」
アパートは3階建てで新築ではなく築数年経っている感じ(暗がりではっきりとは見えないが個人的にはそんな感じがした)であった。私たちは肩をすぼめ、背中を丸めながらアパートの階段を昇った。階段で2階まで昇り、通路を歩いてフロア端の部屋のドアの前で止まった。石家先生は右手をチノパンツの前ポケットに突っ込んで鍵を取り出してドアの鍵を開けた。
「俺の部屋にようこそ!」
石家先生はドアを開けてどうぞと私を部屋の中に入れた。ドアが開いたとたんに煙草の臭いがツ~ンと鼻を突いた。
「おじゃましま~す。」
私はブーツを脱いでそろ~っと部屋に入った。石家先生はすぐに部屋の電灯と暖房のスイッチを入れた。部屋は1DKで天井が高くロフトがあった。部屋の中は予想通り雑然としており、フローリング床の上にグレーの絨毯が敷いてあり、長方形の白いテーブルと20インチのトリニトロンテレビ以外置いていなかった。テーブルの上は目覚まし時計、缶ビールの空き缶3個、煙草の空箱2個と赤色の100円ライターが無造作に置かれていて、青いガラス製の灰皿の上には煙草の吸殻が山盛りに積み重なっていた。絨毯の上には敷布団が敷いてあり、掛布団が無造作にめくれていて、ケーシー白衣や茶色のコーデュロイパンツ、参考書やビキニ姿のグラビアアイドルがにっこり笑顔で表紙を飾っている漫画雑誌が数冊散乱していた。奥にある小さな台所スペースはほとんど使用している感じが見られず、流し台の前には空のペットボトル2本、とゴミがいっぱい入ってパンパンになっているゴミ袋が一つ置いてあった。窓は緑色のカーテンが開いたままになっており、カーテンレールには白いTシャツがぶら下がっているハンガーが一つと、洗濯干しピンチハンガーが一つぶら下がっていてにグレーと水色のブリーフパンツがそれぞれ1枚と、白やピンクのタオルが3枚ほど干してあった。部屋の中心部に行くと煙草の臭いが一層鼻を突き、何だか懐かしい感じがした。
(うわぁ……やっぱり酷いわぁ……。)
「先生はここでひとり暮らしをしているんですね……。」
私は部屋中を見渡しながら壁際にショルダーバッグを降ろした。
「かなり散らかってるでしょ。」
「はぁ……」
「ここはまぁ部屋が若干狭いけど、病院には比較的近いし、家賃もそこそこ安いほうだしね。」
石家先生は赤いダウンジャケットから財布と鍵を取り出してテーブルに置き、ジャケットを脱いで床に置いた。
「家賃って月幾らですか?」
私は部屋を見回しながら興味津々で質問をした。
「まぁ……月7万円くらいかな。」
「えっ?そんなに?」
私は少し驚き石家先生を見上げた。私の地元ではこのようなアパートだと家賃は5万円が相場であったので、やはり都会は高いんだなぁ~としみじみ思った。
「まぁ、都内はアパートも家賃が高いんだよね。でもここはまだお手軽な方だよ。」
石家先生はテーブルの横にドカッと胡坐をかいて座り、煙草の箱から1本煙草を出してライターで火をつけた。そして深く吸い込みゆっくりと口から煙を吐いた。
「寒かったでしょ。先に風呂入りなよ。風呂場は右手にあるユニットバスだから。あと、タオルはここのを使っていいからね。」
そう言って石家先生は押し入れを開けた。押し入れには畳んでいない(多分洗濯はきちんとしていると思う。)複数枚のタオルと下着、トレーナーやほかのチノパンツ、ブルーデニムの私服がグジャっと積んで入っていた。
「これがいいいかな。」
石家先生はそのグジャグジャな中から1枚白くカチカチに乾燥したタオルを取り出して私に渡してくれた。
「あ、タオルは持ってきたので大丈夫ですよ。」
「あっそう。」
「私、先に入っていいんですか?」
「いいよいいよ、入って。」
「じゃあ……お先に入ります。」
私はショルダーバッグを開けて下着や寝衣として用意した白いロングTシャツとグレーのスパッツ、白い靴下の入った巾着袋とバスタオル・タオルを出して浴室へ向かった。浴室のドアを開けると、ユニットバスになっており、浴槽、洗面所、トイレの間がかなり狭く見えた。やはりそこも期待通りの汚れ方だった。浴槽の淵やユニットバスカーテンの下側に所々黒い点々(カビ)が見られ、床は髪の毛や陰毛が結構散らかっていた。白い洋式トイレの便器の中は水面に沿って黒い水垢の輪が見られた。
石家先生は肩をすぼめながらアパートを右手で指さした。
「先生、ここに住んでいるんですね。」
私も寒さで肩をすぼめアパートを見上げながら言った。
「そう。俺ここの2階に住んでるの。」
アパートは3階建てで新築ではなく築数年経っている感じ(暗がりではっきりとは見えないが個人的にはそんな感じがした)であった。私たちは肩をすぼめ、背中を丸めながらアパートの階段を昇った。階段で2階まで昇り、通路を歩いてフロア端の部屋のドアの前で止まった。石家先生は右手をチノパンツの前ポケットに突っ込んで鍵を取り出してドアの鍵を開けた。
「俺の部屋にようこそ!」
石家先生はドアを開けてどうぞと私を部屋の中に入れた。ドアが開いたとたんに煙草の臭いがツ~ンと鼻を突いた。
「おじゃましま~す。」
私はブーツを脱いでそろ~っと部屋に入った。石家先生はすぐに部屋の電灯と暖房のスイッチを入れた。部屋は1DKで天井が高くロフトがあった。部屋の中は予想通り雑然としており、フローリング床の上にグレーの絨毯が敷いてあり、長方形の白いテーブルと20インチのトリニトロンテレビ以外置いていなかった。テーブルの上は目覚まし時計、缶ビールの空き缶3個、煙草の空箱2個と赤色の100円ライターが無造作に置かれていて、青いガラス製の灰皿の上には煙草の吸殻が山盛りに積み重なっていた。絨毯の上には敷布団が敷いてあり、掛布団が無造作にめくれていて、ケーシー白衣や茶色のコーデュロイパンツ、参考書やビキニ姿のグラビアアイドルがにっこり笑顔で表紙を飾っている漫画雑誌が数冊散乱していた。奥にある小さな台所スペースはほとんど使用している感じが見られず、流し台の前には空のペットボトル2本、とゴミがいっぱい入ってパンパンになっているゴミ袋が一つ置いてあった。窓は緑色のカーテンが開いたままになっており、カーテンレールには白いTシャツがぶら下がっているハンガーが一つと、洗濯干しピンチハンガーが一つぶら下がっていてにグレーと水色のブリーフパンツがそれぞれ1枚と、白やピンクのタオルが3枚ほど干してあった。部屋の中心部に行くと煙草の臭いが一層鼻を突き、何だか懐かしい感じがした。
(うわぁ……やっぱり酷いわぁ……。)
「先生はここでひとり暮らしをしているんですね……。」
私は部屋中を見渡しながら壁際にショルダーバッグを降ろした。
「かなり散らかってるでしょ。」
「はぁ……」
「ここはまぁ部屋が若干狭いけど、病院には比較的近いし、家賃もそこそこ安いほうだしね。」
石家先生は赤いダウンジャケットから財布と鍵を取り出してテーブルに置き、ジャケットを脱いで床に置いた。
「家賃って月幾らですか?」
私は部屋を見回しながら興味津々で質問をした。
「まぁ……月7万円くらいかな。」
「えっ?そんなに?」
私は少し驚き石家先生を見上げた。私の地元ではこのようなアパートだと家賃は5万円が相場であったので、やはり都会は高いんだなぁ~としみじみ思った。
「まぁ、都内はアパートも家賃が高いんだよね。でもここはまだお手軽な方だよ。」
石家先生はテーブルの横にドカッと胡坐をかいて座り、煙草の箱から1本煙草を出してライターで火をつけた。そして深く吸い込みゆっくりと口から煙を吐いた。
「寒かったでしょ。先に風呂入りなよ。風呂場は右手にあるユニットバスだから。あと、タオルはここのを使っていいからね。」
そう言って石家先生は押し入れを開けた。押し入れには畳んでいない(多分洗濯はきちんとしていると思う。)複数枚のタオルと下着、トレーナーやほかのチノパンツ、ブルーデニムの私服がグジャっと積んで入っていた。
「これがいいいかな。」
石家先生はそのグジャグジャな中から1枚白くカチカチに乾燥したタオルを取り出して私に渡してくれた。
「あ、タオルは持ってきたので大丈夫ですよ。」
「あっそう。」
「私、先に入っていいんですか?」
「いいよいいよ、入って。」
「じゃあ……お先に入ります。」
私はショルダーバッグを開けて下着や寝衣として用意した白いロングTシャツとグレーのスパッツ、白い靴下の入った巾着袋とバスタオル・タオルを出して浴室へ向かった。浴室のドアを開けると、ユニットバスになっており、浴槽、洗面所、トイレの間がかなり狭く見えた。やはりそこも期待通りの汚れ方だった。浴槽の淵やユニットバスカーテンの下側に所々黒い点々(カビ)が見られ、床は髪の毛や陰毛が結構散らかっていた。白い洋式トイレの便器の中は水面に沿って黒い水垢の輪が見られた。
