それからの4日間、ヘラヘラ顔で病棟に出勤し、終始ヘラヘラ顔で勤務をし、ヘラヘラ顔で車を運転して帰宅し、ヘラヘラ顔で終始過ごしていた。勤務中そんな私を鬼の北島さんや普段穏やかな山田さんも「丸田おかしくね?」といった怪しい眼を向けていたのは時々感じていたけど、そんなことは気にならないくらいヘラヘラ浮かれていた。
(土曜日は何着ていこうかなぁ……先生はどんな格好で来るのかなぁ……駅で再会したらどんな顔をしているかなぁ……)
(その日は先生の家でお泊りするんだよね…どんな夜になるのかなぁ……)
頭の中はそんなことばかり妄想がグルグル回っていた。
そうこうしているうちに出発する前日である金曜日を迎えた。仕事を終えて帰宅した私は、クローゼットの上棚にある大き目のネイビーブルーのショルダーバックを取り出した。その中に1泊分の下着とパジャマ変わりのグレーのスパッツとXLサイズの長袖白シャツを丁寧に畳んで入れた。そして洗面道具とバスタオル、フェイスタオル1枚を詰め込んだ。
(よし、いよいよ明日だ!!やっと先生に会えるんだ!!)
そんな想いを巡らせながら、ニコニコ顔で荷造りをしていた。
そして遂に土曜日を迎えた。その日は午前中半日勤務を早々に終えた私は、家に戻り、前日に荷造りした荷物の確認とクローゼットを開けてワインレッドのニットワンピースとモスグリーンのダッフルコートを取り出した。そして衣装箪笥から黒タイツを出した。
1階に降りて棚にある電車時刻表を取り出して出発時間を確認した。K駅発16:40発の普通電車U駅行に乗車し、その後山手線に乗り換えると、19:00前にはS駅に到着する!
(いよいよだ‥‥‥遅れないようにしなくちゃ!)
時刻表を確認したとき、私の心の中では石家先生と再会できるその日を迎えたことの喜びと、無事に会えるかどうかの緊張が入り混じっていて、心臓がドキドキと高鳴っていた。
時計は15:00過ぎを回った頃、私はニコニコ顔でニットワンピースに着替え、洗面所に行って鏡に向かって念入りに髪の毛をブラシでといた。顔を鏡に近づけて鼻毛が出ていないか、目尻に目くそが付いていないかを念入りに確認した。鏡に向かう私の顔は、めちゃくちゃ幸せ感を漂わせた笑顔を浮かべていた。家族がいる手前、平静を装わなければならないけど、ニヤニヤ笑顔は完全に抑えきれない。離れたところから母親が怪訝そうな顔でこっちに視線を送っているをヒシヒシと感じた。
16:00を過ぎたころ、モスグリーンのダッフルコートを羽織り、荷物の入ったネイビーブルーのショルダーバックを左肩にかけながら、居間にいる母親に声をかけた。
「お母さん、K駅前まで送ってくれる?」
「はいはい」
母親は車のキーとカバンを持ちながら渋々と居間から出てきた。私と母親は黙って車に乗り込んだ。
「友達のところに泊まるんでしょ?」
運転席でハンドルを回しながら母親が少ししかめた表情で言ってきた。
「うん。」
今日のことを私は両親に「東京に住んでいる看護学校時代の友達の家に泊まる。」と嘘をついていた。
「泊まるなんて……その友達も忙しいでしょ?悪いんじゃないの?」
「うん、まあ……でも大丈夫だよ。」
私は平静を装いながら返事をした。母親に嘘をついてまで外泊に行くのに少し後ろめたさがあった。
「そう……じゃあそのお友達に迷惑をかけないようにしなさいよ。」
「うん、わかった。」
K駅へ向かう車内で母と子はボソボソとこんな会話のやりとりをしていた。こんなやりとりをしながらも私の心はドキドキと嬉しさで弾んていた。そんなやりとりをしているうちにK駅前のロータリーに到着した。
「ありがとう。明日帰るから電話するね。」
私は平静を装いながら車のドアを開けた。チラッと母親の方を見ると、やはり心配そうな、外泊に納得していないような少ししかめた表情をしていた。私はその表情を見て、外泊をするのが少し後ろめたいというか罪悪感のような感じを抱いた。
「わかった。じゃあ気を付けてね。」
「うん、行ってくる。」
私は平静を装いながら車のドアをバタンと閉めた。閉めた後にニヤッと口角が上がった。
(土曜日は何着ていこうかなぁ……先生はどんな格好で来るのかなぁ……駅で再会したらどんな顔をしているかなぁ……)
(その日は先生の家でお泊りするんだよね…どんな夜になるのかなぁ……)
頭の中はそんなことばかり妄想がグルグル回っていた。
そうこうしているうちに出発する前日である金曜日を迎えた。仕事を終えて帰宅した私は、クローゼットの上棚にある大き目のネイビーブルーのショルダーバックを取り出した。その中に1泊分の下着とパジャマ変わりのグレーのスパッツとXLサイズの長袖白シャツを丁寧に畳んで入れた。そして洗面道具とバスタオル、フェイスタオル1枚を詰め込んだ。
(よし、いよいよ明日だ!!やっと先生に会えるんだ!!)
そんな想いを巡らせながら、ニコニコ顔で荷造りをしていた。
そして遂に土曜日を迎えた。その日は午前中半日勤務を早々に終えた私は、家に戻り、前日に荷造りした荷物の確認とクローゼットを開けてワインレッドのニットワンピースとモスグリーンのダッフルコートを取り出した。そして衣装箪笥から黒タイツを出した。
1階に降りて棚にある電車時刻表を取り出して出発時間を確認した。K駅発16:40発の普通電車U駅行に乗車し、その後山手線に乗り換えると、19:00前にはS駅に到着する!
(いよいよだ‥‥‥遅れないようにしなくちゃ!)
時刻表を確認したとき、私の心の中では石家先生と再会できるその日を迎えたことの喜びと、無事に会えるかどうかの緊張が入り混じっていて、心臓がドキドキと高鳴っていた。
時計は15:00過ぎを回った頃、私はニコニコ顔でニットワンピースに着替え、洗面所に行って鏡に向かって念入りに髪の毛をブラシでといた。顔を鏡に近づけて鼻毛が出ていないか、目尻に目くそが付いていないかを念入りに確認した。鏡に向かう私の顔は、めちゃくちゃ幸せ感を漂わせた笑顔を浮かべていた。家族がいる手前、平静を装わなければならないけど、ニヤニヤ笑顔は完全に抑えきれない。離れたところから母親が怪訝そうな顔でこっちに視線を送っているをヒシヒシと感じた。
16:00を過ぎたころ、モスグリーンのダッフルコートを羽織り、荷物の入ったネイビーブルーのショルダーバックを左肩にかけながら、居間にいる母親に声をかけた。
「お母さん、K駅前まで送ってくれる?」
「はいはい」
母親は車のキーとカバンを持ちながら渋々と居間から出てきた。私と母親は黙って車に乗り込んだ。
「友達のところに泊まるんでしょ?」
運転席でハンドルを回しながら母親が少ししかめた表情で言ってきた。
「うん。」
今日のことを私は両親に「東京に住んでいる看護学校時代の友達の家に泊まる。」と嘘をついていた。
「泊まるなんて……その友達も忙しいでしょ?悪いんじゃないの?」
「うん、まあ……でも大丈夫だよ。」
私は平静を装いながら返事をした。母親に嘘をついてまで外泊に行くのに少し後ろめたさがあった。
「そう……じゃあそのお友達に迷惑をかけないようにしなさいよ。」
「うん、わかった。」
K駅へ向かう車内で母と子はボソボソとこんな会話のやりとりをしていた。こんなやりとりをしながらも私の心はドキドキと嬉しさで弾んていた。そんなやりとりをしているうちにK駅前のロータリーに到着した。
「ありがとう。明日帰るから電話するね。」
私は平静を装いながら車のドアを開けた。チラッと母親の方を見ると、やはり心配そうな、外泊に納得していないような少ししかめた表情をしていた。私はその表情を見て、外泊をするのが少し後ろめたいというか罪悪感のような感じを抱いた。
「わかった。じゃあ気を付けてね。」
「うん、行ってくる。」
私は平静を装いながら車のドアをバタンと閉めた。閉めた後にニヤッと口角が上がった。
