「もしもし」
受話器から久々に聞く優しい声が響いた。
(先生!)
その声を聴いたとたん、私の心は嬉しさのあまりパアンと弾けた感じがした。
「あの、Ⅾ病院の丸田です!」
嬉しさと緊張のあまり、私の声は若干震えていた。
「あ、丸ちゃん!」
「先生お久しぶり!お疲れ様です!夜遅くに電話してすみません!」
「あぁ、大丈夫だよ。今病院から帰ってきたところだったんだ。電話に出るの遅れちゃってごめんね!」
石家先生は、最初少し慌てた感じだったが、すぐにいつもの優しく落ち着いた口調に戻った。
「先生、いつもこんな時間までお仕事をされているんですね。」
私は緊張する心を必死で押し殺しながら一つ一つ言葉を絞り出した。
「うん、まぁね。」
「そうですか……先生大変ですね……お疲れ様です。」
「うん。」
「救命室には少しずつ慣れてきたんですか?」
「う~ん、どうかなぁ~。何かいろいろやることがあるしねぇ。とにかく大変だよね~。」
「そうですか……向こうの看護師さんたちはどうですか?」
「そうだねぇ~……怖い人もいるけど……同期の看護師さんや優しいベテラン看護師さんが何人かいてその人たちは優しいね。」
「同期の看護師?」
「そう。僕が初めて病院で研修を始めたときと同じ時期に就職してきた看護師さんたちだよ。同期だからわかってくれるというか、いいよね~。」
「そうですか……よかったですね、やさしい看護師さんたちがいて。」
「まあね。」
(同期の看護師かぁ……いいなぁ~石家先生と一緒に仕事ができて……いいなぁ~)
「……」
(どうしよう……)
受話器を握りしめながら、自分の胸のドキドキと強く鼓動を打つ音を強く感じ続けていた。
(よしっ、言ってみよう!)
「あ、あの先生、もしよければそっちへ遊びに行ってもよいですか?も、もちろん先生の都合の良いときにですけど、ど、どうでしょうか?」
私は一気に言い切った。一番石家先生に言いたかったこと、聞きたかったことを。胸は高速でドキドキが高鳴り続けていた。
(お願い!“いいよ”と言って!お願い!)
「……」
数秒間沈黙が続いた。
(やっぱりダメなのかな……)
私の胸はドキドキを通り越してズキズキ痛くなってきた。
「う~ん……ちょっとまってて。」
石家先生が受話器を置く音が聞こえた。奥で小さくゴソゴソと音が聞こえた。さらに数秒間沈黙が続いた。
「もしもし、今週の土曜日の夜はどうかな。その日は当直じゃないし、何もなければ19:00頃には仕事が終わるかもしれないし。」
「えっ?土曜日?」
「そう。その日なら大丈夫かなと。」
その瞬間、私の心はパァっと光がさして暖かく感じた。
「はい!その日は半日勤務なので大丈夫です!」
返事をする私の声はかなり弾んで大きくなっていた。
「じゃあその日で。」
石家先生は優しく、淡々と話していた。
「先生、じゃあ私は何時ごろ何処に行けばよいですか?」
「う~んそうだなぁ……じゃあ19:00頃S駅西口の改札出たところで待っているよ。」
「わかりました!では土曜日の19:00、S駅西口に行きます!」
「じゃあそれで。」
「先生、ありがとうございます!ではお仕事がんばってくださいね!」
「あぁ、ありがとう。」
「おやすみなさい。」
「おやすみ。」
ガチャン。受話器から電話を切る音が鳴り響いた。受話器を置いた後私は両手をグっとガッツポーズをとった。
「よしっ!やったぜ!石家先生に会える!」
私は今日電話して良かったとしみじみ感じた。このタイミングで電話をして本当に良かったこと、すぐに再会の約束がとれたこと、これはもう石家先生とは運命的な関係であることを決定付けているのではないかという思いはだんだん強くなってきた。もうウキウキ気分が治まらず、電話番号のメモを見ては気持ち悪い程のニヤニヤした顔を浮かべていた。その日の夜は当然眠れず、布団の中で気色悪いニヤニヤした顔を浮かべていた。
受話器から久々に聞く優しい声が響いた。
(先生!)
その声を聴いたとたん、私の心は嬉しさのあまりパアンと弾けた感じがした。
「あの、Ⅾ病院の丸田です!」
嬉しさと緊張のあまり、私の声は若干震えていた。
「あ、丸ちゃん!」
「先生お久しぶり!お疲れ様です!夜遅くに電話してすみません!」
「あぁ、大丈夫だよ。今病院から帰ってきたところだったんだ。電話に出るの遅れちゃってごめんね!」
石家先生は、最初少し慌てた感じだったが、すぐにいつもの優しく落ち着いた口調に戻った。
「先生、いつもこんな時間までお仕事をされているんですね。」
私は緊張する心を必死で押し殺しながら一つ一つ言葉を絞り出した。
「うん、まぁね。」
「そうですか……先生大変ですね……お疲れ様です。」
「うん。」
「救命室には少しずつ慣れてきたんですか?」
「う~ん、どうかなぁ~。何かいろいろやることがあるしねぇ。とにかく大変だよね~。」
「そうですか……向こうの看護師さんたちはどうですか?」
「そうだねぇ~……怖い人もいるけど……同期の看護師さんや優しいベテラン看護師さんが何人かいてその人たちは優しいね。」
「同期の看護師?」
「そう。僕が初めて病院で研修を始めたときと同じ時期に就職してきた看護師さんたちだよ。同期だからわかってくれるというか、いいよね~。」
「そうですか……よかったですね、やさしい看護師さんたちがいて。」
「まあね。」
(同期の看護師かぁ……いいなぁ~石家先生と一緒に仕事ができて……いいなぁ~)
「……」
(どうしよう……)
受話器を握りしめながら、自分の胸のドキドキと強く鼓動を打つ音を強く感じ続けていた。
(よしっ、言ってみよう!)
「あ、あの先生、もしよければそっちへ遊びに行ってもよいですか?も、もちろん先生の都合の良いときにですけど、ど、どうでしょうか?」
私は一気に言い切った。一番石家先生に言いたかったこと、聞きたかったことを。胸は高速でドキドキが高鳴り続けていた。
(お願い!“いいよ”と言って!お願い!)
「……」
数秒間沈黙が続いた。
(やっぱりダメなのかな……)
私の胸はドキドキを通り越してズキズキ痛くなってきた。
「う~ん……ちょっとまってて。」
石家先生が受話器を置く音が聞こえた。奥で小さくゴソゴソと音が聞こえた。さらに数秒間沈黙が続いた。
「もしもし、今週の土曜日の夜はどうかな。その日は当直じゃないし、何もなければ19:00頃には仕事が終わるかもしれないし。」
「えっ?土曜日?」
「そう。その日なら大丈夫かなと。」
その瞬間、私の心はパァっと光がさして暖かく感じた。
「はい!その日は半日勤務なので大丈夫です!」
返事をする私の声はかなり弾んで大きくなっていた。
「じゃあその日で。」
石家先生は優しく、淡々と話していた。
「先生、じゃあ私は何時ごろ何処に行けばよいですか?」
「う~んそうだなぁ……じゃあ19:00頃S駅西口の改札出たところで待っているよ。」
「わかりました!では土曜日の19:00、S駅西口に行きます!」
「じゃあそれで。」
「先生、ありがとうございます!ではお仕事がんばってくださいね!」
「あぁ、ありがとう。」
「おやすみなさい。」
「おやすみ。」
ガチャン。受話器から電話を切る音が鳴り響いた。受話器を置いた後私は両手をグっとガッツポーズをとった。
「よしっ!やったぜ!石家先生に会える!」
私は今日電話して良かったとしみじみ感じた。このタイミングで電話をして本当に良かったこと、すぐに再会の約束がとれたこと、これはもう石家先生とは運命的な関係であることを決定付けているのではないかという思いはだんだん強くなってきた。もうウキウキ気分が治まらず、電話番号のメモを見ては気持ち悪い程のニヤニヤした顔を浮かべていた。その日の夜は当然眠れず、布団の中で気色悪いニヤニヤした顔を浮かべていた。
