そして、翔平君の手を取り、甲にキスをした。
恐る恐る聞いてみた。

「りょ、、う、た?」

「うん。チコ。俺だよ。びっくりした?」

「本当に亮太なら私の事なんでもわかるよね?」

「うん。わかるよ。全部」

「じゃあ、誕生日は?」

「10月26日」

「じゃ、、じゃあ、好きな食べ物!」

「んー、サーモンだよね?お菓子で好きなのはポテトチップス、幸せバター味でしょ?笑」

「んー、じゃあ、チコってあだ名の由来!これは亮太しか知らないからな〜。白状するなら今のうちだよ?ご飯奢りで許してあげましょう。」

真面目な顔で彼は言った。

「わかるよ。チコ、教科書とかにカタカナでフルネームで書く癖あったじゃん?それで高校1年生の国語の教科書のサチコのサが消えてて、チコって呼ぶようになったんだよな。」

自分の頬をつねり痛い事を確認した。

彼はハニカミ、「夢じゃないよ?」と言いながら私の頬を撫でてくれた。

コップの水は溢れ出てしまった。ずっと溢れないように慎重に歩いてきたのに、目の前の彼は簡単に溢れさせてくる。誰も触りたがらない、びしょびしょに濡れた私をそっと優しく包み込んで、ごめんね。と呟いた。彼の手に両手を重ね、言った。

「ずっと、ずっと大好きだったよ。あいたかった。」

「俺もだよ。悲しい思い沢山させてごめんね。」と言う彼の瞳はキラキラ光って輝いていて、とても綺麗でずっと見ていたいと思った。