タツナミソウ

「じゃあ、お前しかいないよな?」

深澤君が翔平の方を向いて言った。なんかぶつぶつ隣で文句?を言っているみたいだけど、結局付き合ってくれるのをわかっているから用意しているのだ。なかなか悪い大人だ。常連さんを1人だけ仲間外れにするものなんだか心が痛いからと、誘ってはみたけど、絶対に悪酔いするのがわかっているから遠慮しておきますと丁寧に断られてしまった。それを聞いた翔平は、ほら言ってるじゃんとか明日も仕事なんだよとか、またぶつぶつ文句を言い始めたけど、気にしない。つもりだった。でも、少しうるさいから、じゃあ飲まなくていいよと、ちょっと意地悪したら唇を突き出して黙ってしまった。その姿が可愛いくて、じゃあ3人でだねと2人の方向を向きながら横目で翔平を見ていた。

「あぁ!もう!俺も飲むから!今日は涼子さんにとことん付き合うからさ!、、、まぜてよ、、、」

絶対に誰とも目を合わせないでまぜてよと言ったのが子供みたいで、3人で口元に手を当てて顔を見合わせて、あら!とかまあ!とかどうしようかしら!とか言って焦らした。やりすぎると本当に拗ねて機嫌が戻らなくなるから、この辺でこの茶番は終わらせよう。もうその頃には涼子ちゃんも乾いて水分の足りない砂漠のようになっていたから、沢山飲もうねと、その小さな手を両手でギュッと包み込んだ。

「じゃあ、そろそろ3人とも座りなよ。どうせいっぱい飲むんだからなみなみに入れるよ!翔平と俺はロックな」

ちょうど時計が9時のお知らせをした所で、私たちのパーティーが始まった。