時計の短い針が9の所にたどり着いたから、亮太の頬にキスをした。次に目を開けた時、携帯は私の手の中に帰ってきた。そこから伝わる温もりで涙が出そうになったけど、目をめいいっぱい見開いて潤いを消して引き止めた。翔平は立ち上がってコーヒーを淹れてくれた。もちろん、砂糖一杯にほんの少しの塩を入れて。月曜日の夜に亮太とお別れした後は翔平がコーヒーを淹れるのがルーティンになりつつある。何も言わなくても私の好みがわかっているから安心して飲む事ができる。高校生の時とかは、カッコつけてブラックが美味しいんだよなとか言って飲んでたのが馬鹿らしく思える。毎回その濁った液体を見るたびに恐る恐る唇につけていた自分が少し可愛いなとも思っちゃうけど、戻れるのならば美味しく飲めるのが1番だとあの頃の自分に伝えてやりたい。
「あのさ、今週の飯どこ行く?」
「んー、深澤君の所でいいんじゃない?美味しいカンパチが入りそうだってメッセージ来てたし!」
この時間にご飯の約束をするのも当たり前のようになってきている。毎回聞いてくれるからたまには翔平の行きたい所にしたいのだけど、俺はなんでもいいから幸子さんの行きたい所にしようって返ってくるのがわかっているから、特にこれといって食べたい物が思いつかない時には何か理由をつけて深澤君のお店に行く事にしている。そう、皆んなが思いつかない時にファミレスに行こうみたいな感覚。深い意味はない。絶対にあってはならないし、そんな物自分の中にはないから。
「あのさ、今週の飯どこ行く?」
「んー、深澤君の所でいいんじゃない?美味しいカンパチが入りそうだってメッセージ来てたし!」
この時間にご飯の約束をするのも当たり前のようになってきている。毎回聞いてくれるからたまには翔平の行きたい所にしたいのだけど、俺はなんでもいいから幸子さんの行きたい所にしようって返ってくるのがわかっているから、特にこれといって食べたい物が思いつかない時には何か理由をつけて深澤君のお店に行く事にしている。そう、皆んなが思いつかない時にファミレスに行こうみたいな感覚。深い意味はない。絶対にあってはならないし、そんな物自分の中にはないから。
