もうこの際だからと思い、遠足は期待しててくださいと伝えて電話を切った。深澤君は電話の内容を聞いたりせずに「大丈夫?」とだけ不安そうな顔で言った。頷く私の肩にそっと手を乗っけた。
「じゃあ、続きやるぞ。うんと感動するやつ作らないとな!」
「はい!先生!」
勢いよく手を上げて立ち上がり返事をした。卵焼きすら何回も失敗したのに大丈夫なのかな?と言うと、深澤君は右側口角だけクイッとあげてニヤニヤして、人差し指をピンと立てて左右に動かして、チッチッチッとか言い出した。どうやら、私は本当に料理ができないやつらしい。彼に言わせると、卵焼きを綺麗にできるようになる事は結構難しい事だと。だし巻きに挑戦して柔らかいから尚更。だから、ここからは一回やってしまえば当日も確実にできるような事ばかりだと励ましてくれた。やる気スイッチに火がついて、師匠と呼んでもいいか尋ねると、それはダメだと断られた。
まずポテトサラダを作って、次に肉じゃが、ひじきの和物、じゃこピーマン、炊き込みご飯とどんどん作り続けた。手際のいい深澤君を横目に見ているから自分のできなさに申し訳なくった。それが顔に出てしまっていたらしい。そんな顔していたら美味しい物を作っていても気持ちが料理に移ってもったいない事になるぞと言ってくれた。多分励ましてくれたのだろう。口角を思いっきり上げて、師匠!わかりましたと返事をすると何故か少し怒られたけどそこは気にしない。詰め方も教えてもらった。肉じゃがは汁気を完全に飛ばしてからお弁当に入れるといいらしい。朝に作っていてくれたお出汁が優しく香っていて、とても美味しそうな匂いをしている。他の物も手が込んでそうに見えて割と私でもできるレベルで感動した。もう終わりだなと思った時、大事な事忘れてるぞって深澤君が指をさす。なんのことだろうとその先にある物を目で追うと、お出汁の入ったボトルがあった。え?これ?と無言の圧をかけた。
「こんなん数分でできるから。どうせ何日もかかるとか思ってんでしょ」
「え!なんで!」
図星をつかれて、ちょっと、いや、かなり悔しかった。いつもの2倍くらいになっている目を誤魔化すように眉間にシワを寄せた。もう私の扱いがわかってきたのか、深澤君は適当に返事をしてテキパキと準備を始めた。これが終わったら帰れるから頑張りなと言われた。まるでこの時間を私が嫌がっていたかの言い方だ。そんな事ないのに、返す言葉が見つからなくて頷くことしかできない自分が嫌になる。
「じゃあ、続きやるぞ。うんと感動するやつ作らないとな!」
「はい!先生!」
勢いよく手を上げて立ち上がり返事をした。卵焼きすら何回も失敗したのに大丈夫なのかな?と言うと、深澤君は右側口角だけクイッとあげてニヤニヤして、人差し指をピンと立てて左右に動かして、チッチッチッとか言い出した。どうやら、私は本当に料理ができないやつらしい。彼に言わせると、卵焼きを綺麗にできるようになる事は結構難しい事だと。だし巻きに挑戦して柔らかいから尚更。だから、ここからは一回やってしまえば当日も確実にできるような事ばかりだと励ましてくれた。やる気スイッチに火がついて、師匠と呼んでもいいか尋ねると、それはダメだと断られた。
まずポテトサラダを作って、次に肉じゃが、ひじきの和物、じゃこピーマン、炊き込みご飯とどんどん作り続けた。手際のいい深澤君を横目に見ているから自分のできなさに申し訳なくった。それが顔に出てしまっていたらしい。そんな顔していたら美味しい物を作っていても気持ちが料理に移ってもったいない事になるぞと言ってくれた。多分励ましてくれたのだろう。口角を思いっきり上げて、師匠!わかりましたと返事をすると何故か少し怒られたけどそこは気にしない。詰め方も教えてもらった。肉じゃがは汁気を完全に飛ばしてからお弁当に入れるといいらしい。朝に作っていてくれたお出汁が優しく香っていて、とても美味しそうな匂いをしている。他の物も手が込んでそうに見えて割と私でもできるレベルで感動した。もう終わりだなと思った時、大事な事忘れてるぞって深澤君が指をさす。なんのことだろうとその先にある物を目で追うと、お出汁の入ったボトルがあった。え?これ?と無言の圧をかけた。
「こんなん数分でできるから。どうせ何日もかかるとか思ってんでしょ」
「え!なんで!」
図星をつかれて、ちょっと、いや、かなり悔しかった。いつもの2倍くらいになっている目を誤魔化すように眉間にシワを寄せた。もう私の扱いがわかってきたのか、深澤君は適当に返事をしてテキパキと準備を始めた。これが終わったら帰れるから頑張りなと言われた。まるでこの時間を私が嫌がっていたかの言い方だ。そんな事ないのに、返す言葉が見つからなくて頷くことしかできない自分が嫌になる。
