水面

青春・友情

まる/著
水面
作品番号
1648781
最終更新
2021/09/19
総文字数
0
ページ数
0ページ
ステータス
完結
PV数
0
いいね数
0
水面の波紋が同心円状に広がっている。普遍的な毎日であったが、ある出来後から僕の人生は変わっていった。

僕の名前は水音(みと)。東京に住む男子高校生。背丈は180cmで、友達から不思議な子だねってよく言われる。父親が単身赴任で東京へ、母は看護師として働いている。看護師であるため夜勤が多く、家を留守にすることが多い。
家では妹と弟、僕の3人になることが多いが3人とも部屋にこもりがちなので、顔を合わせるのは、ご飯の時くらいだ。妹は中学2年生のバスケ部、弟は小6のまじめちゃんだ。

「ぴーひょろろろ」
僕はいつも近所の鳥のさえずりで目を覚ます。
けれども、寝坊したことも学校に遅刻をしたことも無い。朝起きて、洗濯物を干し、朝食とお弁当をつくって学校に行き、授業を受け、昼食を食べ、友達と駄べることもなく読書をしていてる。昼休みの騒々しい空間も物語の中に入り込んでしまえば案外気にならないものだ。
友達なんてものは物心ついた時からいなかったような気がする。
僕が、そう思ってるだけなのかもしれないけど。
僕が、ほんとにここに存在してるかさえわからないからない。存在してもいいのかもわからない。
物語の中でだけは無責任なりたいな、なんて思ってしまう。
本を読むことで誰かが傷つくことはないし、僕の心を満たしてくれる。騒々しい音もかき消してくれるそんな本が僕は大好きだ。


雨が降った日の夕方、足音を立てながら家へと向かう。
「水音〜!」
呼ばれて振り返ると幼なじみの空音がいた。
空音はと言うと、ロングヘアーでミニスカートとても可愛らしい女の子だ。空音は、急に近づいてきたかと思うと地面を見つめ出した。たった10秒であったが、その沈黙は長いように思われた。
ようやく口を開いたかと思うと、空音は
「ここに水溜まりがあるでしょ、ここにこの小石を落としてみて」とい言い出した。
分かったと水音がいい、しゅっと水音の指をくぐり抜けた小石は水面の真ん中に落ち、水面の波紋を同心円状に拡がらせた。



震えているのがわかるかな。
水も空気も同じなの。震えることで何かを伝えることが出来る。大きな水溜まりであればもっともっともっーとおおきな広がりができるの。
だから、小さいものでも大きな力を持つことができるんだ、どんなに微量でも、ちっぽけでも。
空音の声は、とてもか細かったが、水音の胸に響き渡った。

この作品のキーワード

この作品のレビュー

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品の感想ノート

この作品には、まだ投稿されていません。

この作品のひとこと感想

この作品には、まだ投票されていません。

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop