慌てて立ち上がりキッチンに向かおうとした千花を、颯真が後ろから抱き締めた。突然の抱擁にドキンと胸が高鳴る。
「それより、3日も出張で不在だった俺に『おかえり』も言ってもらえないの?」
長身の颯真にすっぽりと包まれ耳元で甘く囁かれ、ゾクリと首筋が粟立つ。
それを悟られるのが恥ずかしくて、肩を竦めながら腕の中で反転して彼の方に向き直った。
「あっ…、ごめん、そうだよね。おかえりなさい、颯くん。出張お疲れ様でした」
「うん。ただいま」
優しく見つめる瞳が伏せられ、どれだけ経っても慣れない端正な顔がゆっくりと近付いてくる。
そっと唇が合わさり、腰に回っている手に力が込められたのがわかった。グッと引き寄せられ、舌が入ってきたかと思うやすぐに口内を探るように蠢き、お帰りのキスにしては濃厚な口づけを与えられる。
「んん…」
3日ぶりの颯真の熱。
いつもなら恥ずかしいのとどうしたらいいのかわからないのとで颯真にされるがままの千花だが、今日は寂しかったのと若干残ったアルコールも手伝って、腕を首に回して自分からも舌を絡める。
「…千花、酒飲んだ?」
「ん、すこ、し…だけ……」
いつになく積極的な千花に驚きつつも、颯真はそれに煽られるようにさらに深く口内を探っていった。
何度も角度を変えて甘い痺れを送り込まれ、千花の頭はチョコレートのように蕩けていく。



