「可愛らしくてよくお似合いです」
繊細なレースに手作業であしらわれたという刺繍が美しいドレスは千花も目を惹かれ素敵だと思ったものの、鏡に映る自分はなんとなくイメージしていた大人っぽさとは違う。
ドット柄のせいか、店員の言うように可愛らしい印象のデザインだった。
「うん、いいね。可愛い」
目を細めて満足そうに自分を見る颯真の視線に耐えきれず、試着室のカーテンに包まりたくなってしまう。
「ほら、出ておいで」
颯真によって「これに合う靴も」と用意された踵部分にリボンの付いたパンプスに足を入れ、おずおずと試着室から出て彼の横に並ぶ。
やはり5歳の年の差は大きいのか、どうしても隣に並ぶと自分は幼く見劣りしているような気がしてしまう。
「…もっと大人っぽい格好じゃなくて大丈夫かな」
「なんで?結婚式でも思ったけど、千花はふんわりした印象のドレスがよく似合う。可愛い」
鏡越しだというのに熱い視線に晒され、千花は頬が真っ赤になっていくのが分かり俯くしか出来ない。
「これにします」とあっさり決めてしまった颯真に反論する隙はなかった。



