激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす


話に相槌を打ちながらホッと息を吐くと、肩がすっと下がった。
弥生の名前が出るのではと、やはり緊張して身体が固まってしまっていたらしい。

そんな話をしながら入った店は、『ソルシエール』という高級アパレルブランドの本店。
普段使い出来るラインからドレスまで取り扱っていて、女性にとって憧れのブランドである。しかし、レディースのみでメンズは一切取り扱いがない。

「さ、選ぼっか」
「ん?ここで?レディースしか置いてないよ?」
「もちろん。今日は千花のドレスを買いに来たから」
「えっ?!」」

てっきり颯真の買い物に付き合うのかと思っていた千花は驚きで目を丸くする。そんな千花をよそに、奥から出てきた黒いスーツの女性が声を掛けてきた。

「いらっしゃいませ」
「彼女に似合いそうなドレスをいくつか見せてもらえますか」
「かしこまりました。それではお二階へどうぞ」

店内は落ち着いた淡いピンクの壁に、レトロなポスターが白や金の額縁に入れて飾られている。小さなシャンデリアがいくつも吊るしてあり、服をディスプレイしている什器や棚、ソファも全てオフホワイトで統一されているのがまるで『お姫様の部屋』のよう。

どこかロココ調を感じさせる店の内装は、女性なら心を擽られる可愛らしく華やかな雰囲気だ。

ソルシエールとはフランス語で魔法使い。
ここの服で魔法にかけてもらいお姫様になるといったコンセプトなのだと、いつだったか一緒に買い物に来た時に姉から教わった。