激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす


「おい待て、なんでお前が千花ちゃんて呼んでるんだ」
「男の嫉妬深いのは嫌われるぞ。では、お疲れ様でした」

秘書の鏡のように綺麗に一礼したあと、踵を返しひらひらと手を振りながら車に乗り込んで颯爽と去っていった。

「ったくあいつは…」

同級生との気安いやり取りを見るのは学生の頃以来だ。披露宴の時も、颯真は月城家の御曹司として振る舞っていた。

若干不機嫌そうな表情は新鮮で、なんだか珍しい顔を見れた気がして千花は嬉しくなる。

「宮城さん、同級生なんだね」
「あぁ、中等部から転入してきたんだけど、そっから大学までずっと一緒。腐れ縁ってやつだな」
「ふふ、仲良さそう。秘書ってなんとなく女性のイメージだったけど、男の人もいるんだね」
「まぁ確かにうちの秘書課は女性の方が多いけど、俺があいつに頼んだんだ。ずっと付いてくれるなら馴染みのあるやつのが気楽だしな。出張も多いし」
「高校の頃は一緒にうちにも来てたって…」

そこまで言ってから、千花はハッとして言葉を止める。
自分から弥生の話に繋がる話題を振ったことに気付いてしまったからだったが、颯真はそれに気付かないのか話を続けた。

「そう、学生時代からあいつは人当たり良くて男女問わず誰とも仲良くなれるやつだった。頭の回転も早かったし。だから就活始まる前にうちの会社に来ないかって誘ったんだ」
「そうだったんだ」