だけど先生は…そっと腕をのばし、私の頭に手を置いて優しく撫でてくれた。


『よく出来ました。今日は、これでおしまいにしておく』


そして、残りのハンバーガーを全部食べた。


私達はまた土手を歩き、来た道を駅まで戻った。


何だかまだ信じられない。


今日のこのやり取りは全部夢だったのかな?


もしかして私、ベッドの中にいて眠ってるの?


目覚めたら何も無かったことになって、やっぱりまた…白川先生に注意されるの?


ううん、だけど私の頬は温かいよ。


目の前にある先生の髪、体、長い足にも、ちゃんと動きを感じる。


これは、偽物じゃなく現実だよね。


ちゃんと…先生がいる。


2人きりの時間は幻じゃない。


手を伸ばせば、きっと、その背中に触れられるはず。


いろいろ理解は出来ないままだけど、確かに私達は同じ空間にいて同じ時を過ごしたんだ。


明日からはまた、白川先生との仕事が待ってる。


私が歩く足取りは、ついさっきまでとは確実に違ってる。


ほんの少しだけ軽くなった気がして…


ちょっと、嬉しくなった。