こんな僕だなんて、七海先生みたいな人がそんな風に言うなんて。


『今日、先生と話してわかりました。私を気遣っていっぱい話をして下さって。すごく穏やかで優しい人なんだなって思いました。だから、きっと皆さんが先生のことを信頼したり、素敵だなって思ったりするんだろうなって。あっ、すみません、偉そうに』


それにちょっと…強引なところもあるって知ったし。


『偉そうなんかじゃないよ。そんな風に言ってくれて素直に嬉しいよ。さっきも僕のことイケメンさんって言ってくれたしね。だけど…上手くいかないね。本当に想ってもらいたい人にはなかなか想ってもらえなくて…』


え…


七海先生のたまに見せるこの切なげな表情が、憂いを帯びて嘘みたいに妖艶でドキッとする。


『とにかく、また誘うね。今日は帰ろうか。駅まで送るよ』


『あっ、はい。本当に今日はありがとうございました。美味しかったです』


七海先生はわざわざ私を駅に送り届けてから、近くに止めてあった車で一人暮らしのマンションに帰っていった。