ちょ、可愛すぎて困るんですけど

side涼香
シンとした部屋に時計の秒針を刻む音だけが響く
まだ朝日は登ってない
そう俺は緊張しすぎで寝れてない
10:30くらいに着けばいいとわかっているけど
うーむ…今から着ていく服決めてもいい…かも?
寝付けないから水飲んでこようか…
メイク…して行ったほうがいい…?
可愛い系の服がいいかな?それともかっこいい系?
クマやばかったらど、どうしよう
とか色々考えて現在
やばー…布団から出てもなにすればいいかわからん
一応布団から出て部屋の中心で仁王立ちしてみるけども
「…なにするのが正解なんだ…?」
とりあえず、部屋の電気をつけて、時間を確認する
うん、5:30?寝なきゃやん
8:00に起きる予定のままいけば2時間半しか寝れん
うん、さすがに無理
眠気が来ない…流石に困るんだけど?
…まぁまぁまぁ?妹達に朝服とかは決めてもらおう。うん。そうしよう。
そんでもって、クマの心配がすごい
寝よう。うん、余計なことは全部起きた時の自分に丸投げして、今は寝よう。
そう考え、自分を納得させると、眠気が襲ってきた
「ふぁー…さ、アラーム一応3分毎に鳴らすようにして…っと……おやすみぃ」
ベッドにダイブして深いけど、短い夢の中へ…
「お姉ちゃーん!アラームうるさーい!まだ起きんのー??」
「んー…」
朝…?アラーム…??
「は!やばいやばい!!!」
寝癖もやばいまま、部屋を出てリビングへ走る
「ちょ、今度は足音うるさい!」
「い、今何時?!」
「え?今?7:50だけど…」
はぁー…よかった…寝過ごさなくてすんだ…
「で、朝ごはん食べるん?一応フレンチトーストあるけど…」
やばい…服決めてなかった…
また走って部屋へ戻る
「え、ちょ!お姉ちゃん!?朝ごはんー!」
「支度したら食べる!!テーブルの上置いといてー!!」
昨日の夜引っ張り出しておいた、数セットの服
スマホで今日の気温を確認する
うーん…まぁまぁ暑い感じか…
チラリと数セットのうちの、2セットを見る
1つはノースリーブに短パン
もう1つは、これまたノースリーブにジーンズ
何が違うかって?
1つ目は少し可愛らしい柄で、もう1つ目はクールというか…カッコイイ系の服…
どっちにしても…なんて言うか…
イマイチ…だな…
扉を叩く音がして、ビクッとする
「お姉ちゃん?ちょっといーい?」
「お、おう、どした?」
扉を開けた先には、桃香がいて
「お姉ちゃんさー、今日彼女とデート??」
「んー、そうなんやけど…服決まらんくて」
「そんなこったろうと思ったー。夜中布が擦れる音してたから、立ったり寝転んだりしてたんかなぁって」
え、俺の妹エスパーやった…?
「どっちかってゆーと、ジーンズのがお姉ちゃんの雰囲気似合ってるよ」
「マジー?!よっし!それにしよーっと」
ウキウキで他の服を片付ける
「あー…じゃあさ、お姉ちゃん」
「んー?」
言いづらそうにモジモジしてる桃香
えー、なになに。なんかおもろそうやん
「その…さ、デートとか行くとするじゃん…」
「おん」
「場所とか…何処がいいとかある…??」
お、お???
デートかぁ
ニコニコしすぎていたのか、桃香は不機嫌そうに
「お姉ちゃんキモイ…」
「ちょ、それは傷つくて」
で、知らないの?と言うような顔に、答える
「んー、ベタなのだったら、映画館でしょー?それに買い物。散歩とか、食べ歩きとかじゃない??」
「…食べ歩き…」
んー?好きな人は食べるのが好きなんか…?
「ありがと、お姉ちゃん」
「おうおう!あ、食べ歩きなら、柚木通り(ゆずのきどおり)オススメ〜」
コクっと頷いて、部屋に戻る妹を見ながら、青春してんなぁと呑気に思う
服を着て、洗面所で顔を洗ったり、若干メイクもしてみたり…
「お姉ちゃん!今から出かけるけん!朝ごはんテーブルの上ねー!」
元気だなぁと手を振って香織を見送る
いやはや、のんびりしてる時間はないな…
時計を見るともう9:15…
時間が経つのは早いなぁ…
妹が作ったフレンチトーストを牛乳で流し込む
朝ごはんは食べない派だけど、榴香の家でお腹鳴ったら恥ずいし…
普段見ないテレビをつけて、ぼーっと無心で見る
『今日は今週一暑い日となるでしょう。日傘━━━━━━』
ふーん…暑いんか…
なにか差し入れとかいるかなぁ…
飲み物…とか?アイス…とか…
うーん…
「お姉ちゃん、うちもちょっと外行ってくる」
「ん?おん。日傘とか日焼け止め持った?」
「あー…近場だし…」
「んや、日傘持ってきー」
「ん、行ってくる」
「いってら〜」
ヒラヒラと手を振り見送る
んー…どこ行くんやろか
めちゃ気になるなぁ
「……あ!やば!!!」
時計の針はもう10:00を指していた
日焼け止め塗って、昨日準備したカバンに忘れ物ないかの確認だけして
「よし!行きにコンビニ寄るか!!」
扉を開けて、鍵を閉める
「いってきまー!!」