『そう…。よかったわね、やりたいことがみつかって』

「…何?とか聞かないの?」

『…あんたのこと信じているから、もう何も言わないわ。私も少し反省したのよ。ひどいこと言ってごめんね』

「お母さん…」

『またね、ゆっくり話に帰ってらっしゃい。あんたここを出てから一度も帰ってきてないじゃない』

「うん…、わかった」

『…電話代かかるから切るわよ。じゃあね』

「ああ、お母さんっ…」

『なによ?』

「…心配ばかりかけてごめんなさい。…ありがとう」

『…何言ってんのよ、この子は!じゃあね』

そう言って母は電話を切った。
私はなんだか力が抜けた…。

「よく言った!えらいえらい」

健藏さんは私の頭をなでた。

「…っ、子供みたいにぃ…」

こらえていた涙が溢れ、それを隠すために私は健藏さんの胸に顔をうずめた。
健藏さんは追い払わず優しく包んでくれた。
とても、温かかった……


「はぁ…、ごめんね。もう大丈夫。さてと…、住むとこ見つかるまで仮眠室借りていい?」

「いいけど、…ここにいてもいいんだぜ」