「………」

気が重い…。

「俺はずそうか?」

「いい、いて…」

緊張しながら家に電話をかけた。
呼び出し音よりも自分の心臓の音の方がよく聞こえてきた…。

『はい、もしもし』

父が出た。

「あ…、私……」

『舞子か!?なんだおまえ、連絡もせずに…、元気なのか!?』

「うん、元気…。そっちもみんな元気?」

『ああ、元気だが、みんなおまえのことばかり心配…あっ!』

「…どうしたの?」

『舞子!あんた今まで一体どこでどうしてたっていうのよ!?』

母が受話器を横取ったようだ。

『依子ちゃんに聞いたらケータイも持たずに出て行ったって言うし、どれだけ心配したと思ってんのよ!』

久しぶりの母の大きな声…
私は感きわまって、言葉が出てこなくなった…。
沈黙は続き……
何も言えなくなった私の横で、健藏さんが身振りで‘ファイト!’と応援してくれていた。

「あ…あの…、埼玉で仕事に就けて…。で、今はまた千葉に戻って来たんだ。やりたいことがみつかって…。依子ちゃんと入れ違いになっちゃった…」