なんか恥ずかしくて顔が熱くなり、今にも火がつきそうなくらいだった。

「…健藏さんのご両親はお元気で?」

「おう、元気だよ。田舎で野菜作ってんだ」

「そうなんだ」

「舞子は?あれからかあちゃんと仲直りした?」

「ううん、ずっと音信不通状態…。また依子ちゃんとは連絡とってたのかもしれない」

「そうか?そんなこと何も言ってなかったぜ」

「…こっち来る電車で、偶然隣りにあの事務所の社長が座ってね…、親に連絡とれって言うの…。また前みたいに裏でコソコソされてる気がして、偶然ってのも信じられなくて…」

「…そっか」

「はぁ、やだもう…」

考え出したら、また昔の自分に戻りそうだった…。

「…まだ怒ってんの?3年前のこと」

「怒ってるっていうか…、怒ってはないよ…、たぶん」

「軽い気持ちで電話してみれば?」

「うーん……」

「元気でやってることを伝えたらきっと喜ぶぜ。舞子の声を聞くだけでも嬉しいと思う。なんだかんだ言ったって親子だろ」

健藏さんにそう言われ、私はポケットからケータイを取り出し、にらめっこをしていた。