―ぐぅ~…

お腹が空いた。
何かないか、勝手に冷蔵庫を覗いてみた。
何もない…。
健藏さんはいつも何を食べているんだ?

何か作るにも材料がないから、私は買い物に出た。
何を作ろうか迷ったけど…


午後10時頃、健藏さんが帰ってきた。

「ただいまー」

「おかえり。お疲れ様」

「はは、なんかいいな、おかえりって。…ん?何かいいにおいがする」

「肉じゃがを作ったの。食べる?」

「うそ、俺のために!?」

「違うよっ!私がお腹空いて…、作りすぎたのよ!」

「違うの?まぁいいや。俺も腹へった。食わして」

「はい…、お口に合うかどうかわからないけど…」

「いただきまーす」

健藏さんが、私の料理を食べた。

「……?」

「…うめぇ!なんか懐かしい、おふくろの味だ」

「よかった…。何が好きか嫌いかわかんないし、男の人は肉じゃがが好きってよく聞くな、と思って…」

「俺嫌いなもんないよ。なんだ、やっぱり俺のために作ってくれたんだ」

「ちがっ…、もう、そういうことにしとくよっ!」

「ははっ、うれしいなぁ」