「っ…、おかあさんが…、すててこい…って…っ、ぼくはトトコと一緒にいたかったのにっ…」

「…あの子、トトコっていうんだ」

「トトコぉ…」

少年はじっと、子猫をみつめていた。

「…いつでも会いに来ていいよ。あのおにいちゃん猫大好きだから、トトコのことも大事にするから大丈夫」

「…ほんと?」

「うん、心配ないよ。それより、早く帰らないときみがお母さんに怒られちゃうよ?」

「やばい!じゃ、トトコのことよろしくね。また来る…、トトコー、またなー」

少年は涙を拭いて、帰っていった。
自分が怒られるかもしれないのにわざわざ会いに来るなんて、よほどつらかったのだろう…。


「うわ、今日は満月だ」

のんびりと月を眺めていると、突然うしろから何かにしがみつかれた。

「満月の夜に狼男現れる…大声を出すと噛み付くぞ」

「!?」

低い声でそうつぶやかれ私は凍り付いた…。
…何なの!?

「…ぷっ、はははっ俺だよ、俺!」

「へっ!?あーもう、びっくりするじゃない!!」

あまりの恐怖に私は腰を抜かしてしまった。