「…じゃ、ここに居ていい?もっと猫たちとも遊びたいし」

「どうぞどうぞ。…なぁ、腹へらね?なんか食い行こ」

「うん」

「朝も行きたかったんだけどおまえ起きないんだもん、何も食ってねぇんだよ」

「私の顔で遊ばずに行けばよかったじゃん」

「いや、舞子の顔の方が飯より面白かったからなー」

「もぉ!」

私達は昼食を摂り、街をブラブラした。

「久しぶりにこの街を歩くと知らないお店が結構あるね」

「俺も久々歩いた。ほとんど車かバイクだもんな」

「あ、自慢してる?」

「新鮮だっつってんの」

その時、子猫を抱いた少年が通り過ぎた。
気になって、私達はあとをついて行ってみた。

しばらく歩いたビルの間の路地に入り、少年は子猫をおろして、そのまま帰ろうとした。

「やだよ、ぼくをすてないで」

少年は子猫の方を振り向き、キョロキョロしていた。
健藏さんがかわいらしい高い声で子猫の代弁をしたのだ。

「なんでその子おいてくの?」

「なんだ、おじさんか。…こいつ‘ぼく’じゃないし」

「おじ…、おにいさんは!猫を捨てるなんて許さないぞ」