1匹が私の足にすり寄ってきた。

「あは、かわいいねぇ」

「そいつ俺には冷たいんだぜ。オスだからやっぱり女が好きなんだな」

「そうなのかー。はははっ…」

奥にうずくまっている子もいた。

「あの子は昨日路地裏に箱詰めされてたんだ。まだ恐怖心がとれないみたいで…。近付くと威嚇する時があるけど、みんな最初はそうだから、そのうち慣れてくれば大丈夫だよ」

「へぇ…。健藏さん猫の気持ちがわかるんだ?」

「まぁ大体な。俺、前世は猫だったかもな」

「ははっ、そうかもね。私は何だったんだろう?」

「舞子も猫だよ。舞子、猫に似てるもん」

「え、どんなところが?」

「気まぐれで勝手なところ」

「何、悪口?」

「臆病で…、でも本当は強くて、かわいらしくて純粋で、…なんか愛しいとこ」

「まぁ。…そぉ?なんか照れるなっ!…あ、もうこんな時間!泊まるとこ探さなきゃ…」

「ここ、いいよ。猫たちのことが気になって俺もよくここに寝るんだ。仮眠室あるし」

「そうなの?…でも」