枯れたはずの涙がこぼれてきた。

「もう気にするな。間違っていようが、俺らは俺らなりに必死で生きようとしてるんだ」

「でも…私また健藏さんや依子ちゃんに迷惑かけちゃったね…」

「そんなのはいいんだよ。大切なやつがつらい時には助けたいっての当然だろ?」

「そんなふうに思ってくれてるなんて…信じられない」

「信じろ!」

健藏さんは笑ってそう言い、立ち上がった。

「そろそろ帰ろうか。疲れただろ。立てるか?」

「うん…、健藏さんがもんでくれてラクになった。ありがと…」

「あれ、子猫は?」

「箱の中に寝てるよ。さっきは健藏さんの胸の上で遊んでたんだよ」

「マジで?かわいいやつらだなー」

「どうしよう、置いてく…?うちはペット禁止だしな…」

「俺が今日中に里親探すよ。置いてくなんてできない」

「だよね。…だけど今日中になんて、簡単にみつかるかな…?」

「大丈夫だよ、なんとしてもみつけるよ!」

「私も手伝おうか?」

「サンキュ。でもおまえはまず、そのクマをとったほうがいいな。今朝よりひどくなってるぞ」