「…どうしたの?」

「痛い…、あ、足がしびれちゃって…」

「ああ、ごめんっ!」

健藏さんはあわてて起き上がった。

「大丈夫か?」

「だめ。すんごく痛い…」

「俺、何も考えないで悪いことしたな…」

「違う、ずっと歩いてたからね、今朝から痛かったのよ…」

「パンパンじゃねぇか…」

健藏さんは私の足をもんでくれた。

「どこ行くつもりだったんだ?」

「…わかんない」

「女がひとりで一晩中歩くなんて危ないだろうが」

「そうでもないよ…、私キャッチの人にも逃げられちゃったもん」

「そいつ見る目が無いな。俺だったら即捕まえんのに」

「はは…、慰めてくれてんのね」

「…母ちゃんと喧嘩したんだって?」

「……私間違えてたのかな?…頑張りが足りなかったのかな?」

「そんなことない。舞子は頑張った。依子ちゃんが身近で舞子のこと見て、一番よくわかってくれてんじゃねぇの?ゆうべ探しながらぼやいてたぞ。舞子ちゃんは悪くないのにって」

「依子ちゃん…」

「俺もそう思うよ。二日酔いで頭痛くてもおまえ働こうとしたじゃん。すげぇ根性あると思ったよ」