「依子ちゃん、もう遅いから帰んな。あとは俺が探すから」

「でも…」

「明日また学校だろ?舞子が母ちゃんに言われたことを気にしてるなら依子ちゃんは優先させた方がいいんじゃねぇの?」

「そんな…、私そんなこと思ってない!」

「わかってるよ!でもあいつ色々言われたりして…たぶん自分が迷惑な存在になってるって思い込んで逃げ出したんだから…。それに今度こそ帰ってるかもしれないし、帰ってくるかもしれないし」

「…わかりました。家で待ってます」

―ごめんね、依子ちゃん…。私帰れない…。

歩き続けて、夜が明けてしまった。
いくら自分を見失ったからといっても、こんなことしてたらやっぱり疲れる…。
気がつくと、なんだか見覚えのある場所に立っていた。

「……あーここは…、そうだ…」

おととい健藏さんと再会した橋だった。もうずっと前のことのように思える…。

「…ミー、ミー」

子猫…?
辺りを見回してみると、橋の下に、ダンボール箱に子猫が3匹入れられていた。まだヨチヨチしている…。
私は下に降りてみた。