「はい。まぁ…」

「ちょっと、早く注文してよ!」

後ろに並んでいた人に怒られた。

「すみません、お先にどうぞ」

私は列を外れ、須藤さんと話をした。

「ごめんな、俺声かけたから、後ろの人怒っちゃったな」

「そうだね。でもほんとに久しぶりですね!」

「俺があそこ引っ越してから10年だもん、もうすぐ30歳だよ。おっさんだろ」

「そんなことないですよ!」

「舞子は子供だったのに、オバチャンになったな」

「ひどい!この麗しき乙女になんてことを…」

「ははっ、で、なんで千葉にいるの?旅行?」

「いいえ、まぁ…高校卒業してからブラブラ状態で…、いとこが千葉の大学に入ることになって、私はくっついてきただけなんです。特に目的も無く…」

「そう。今どっかで働いてんの?」

「いいえ、…なかなか採用されなくて…」

「だったらうちの事務所に来ない?隣り街で遠いけど…」

「うちの事務所って…社長さんですか!?」

「まぁな。まだ小さな事務所だけど。…来いよ、うちに」