それは、私が日本を代表する経済グループ『花園グループ』会長の孫娘だから。

学校では母方の名字『樋口』を使って通っている。
小・中学校ではそこそこ権力のある子たちが通う―『桜坂学園』いわゆるお金持ち学校に通っていた。

高校では自分の行きたい高校を選び、通わせてもらっている。
もちろん、花園グループの孫娘ということを隠して。

――「朝沙日?大丈夫?」
コソッと美依が声をかけてきた。
「大丈夫ー大丈夫ー」

と適当に返事をして教室を出る。
保健室に行く途中――ドンッ―――

「わぁっ!」

情けない声が階段に響く―――

「おっとっと――セーフ!」