「離島に飛ばされたわけでも、山の中に送り込まれたわけでもないだろう。そんなに落ち込むな」
「分ってるわよっ」
そんなこと言われなくたって、頭では理解してる。

「仕方ないから、今日は休め」
頭を上げる事もできない私が仕事に行けるはずもない。

「でも、今休んだら駄々をこねているみたい」
「言いたい奴には言わせておけ」
背中をトントンと叩いてくれる翼。
「・・・うん。ありがとう」

「で、何か欲しいものがあるか?」
仕事に行く前に用意してやるぞと言っている。

「何もいらない。それより、薬をちょうだい。この吐き気が止まるような・・・」
「あんまり酷いようなら病院に行くか?すぐに点滴をしてやれるぞ」
うーん、それもいいなあ。

「なあ、」
「ん?」
何よと目を開けると、翼がジーッと私を見ている。

「お前・・・まさか?」

何?
今更この体調不良の原因を追及するつもり?
私にだって分っています。
この不調の原因はストレス。
心の弱い私は体に出てしまったわけよ。

「生理、来てる?」

はあああ。
そんなこと翼に言えるわけが、

「どうなんだよ」
「どうって・・・」
確かに遅れてはいるけれど、普段から不規則だし。

「調べてみろよ」
「ええー」

「妊娠の可能性が否定できなかったら、薬は出せないぞ」
確かにそうだけれど。
まさか、そんな。