「お疲れ」
「お疲れ様」
「いただきます」
チーンッ。とグラスが鳴って、3人の夕食。

「旨そうですね」
翼がサンマに箸をつける。

「ああ、いつも山の中にいるからな、魚に餓えている」
真顔で言う公だけれど、これは冗談。
サンマなんてどこででも買えるから。

「どんなところに住んでいるんですか」
翼の突っ込み。
疲れた顔はしているけれど、なんとか笑ってる。

「いいから食え。飲め。ビールも冷えてるから」

翼は黙ってビールを口にした。
そして、私の前に置かれたご飯。

「・・・」
思わずムッとしてしまった。

「いいから、たまには無理してでも食え」
「ええー」

そういえば、実家での食事も和食中心だった。
父さんが厳しくて、いくら母さんが減らしてくれても「全部食べなさい」と残させてはくれなかかった。
大学生になり、1人で暮らすようになって、私はご飯を食べなくなった。
そして、公が家に来るようになり、またご飯を食べさせられた。