翼と肩を並べ、自宅の前まで来たとき、
「お帰り」
ドアの前に立つ公に、声をかけられた。

「どうして?」
思わず出た言葉に、
「今日は金曜日だぞ。こっちで勤務の日だ」
あーぁ、そうだった。

「電話してもつながらないし」
「ごめん。気づかなかった」

私と翼に近づいた公が、
「酷い顔だなあ」
翼の傷に触れようとする。

スッ、と手を避ける翼。

「らしくないな」
公の言葉に、
「分ってます」
反抗的な態度。
それ以上、公は何も言わなかった。