小児科の勤務医となって3ヶ月。
元々研修医としてお世話になっていた病院でもあり、馴染むのに苦労はなかった。
ただ1人、この春新任してきた小児科部長を除いては。

本当にあの部長は、今まで出会った上司の中で最悪。
とにかく、私に対する敵対心が半端ない。
そりゃあ、私に問題がないとは言わないけれど・・・

「紅羽先生、顔が怖いですよ」
外来看護師の沙樹ちゃんが「ほら笑って」と、笑顔を向ける。

はいはい。
今日は外来担当、病棟にいる部長には会わなくていいわけだからノビノビやりましょう。

「じゃあ、始めましょう」
「はい」
今日も患者であふれかえる小児科外来から、私の1日が始まる。

「先生、次呼んでいいですか?」
「はい」
答えながら、パソコンに向かい必死にカルテ入力をする。
こう見えて、医者って結構激務。
診察、カルテ記載、カンファレンスを開いて治療計画を検討したり、診断書の作成、その間で勉強だってしなくては今の医療についてはいけない。
それに、最近の親はクレイマーも多い。
気をつけないとすぐに文句を言ってくる。
特に私みたいにニコニコしない医者には風当たりも強い。


「何でお前が小児科にするんだよ」
小児科医になると決めたとき翼に言われた。
公は、「お前らしい」と言ってくれた。
自分で決めた以上、しんどくても頑張るしかないんだ。