母と離婚してから、私の生活はガラッと変わった。


勉強は一人で出来るし、テストの点数にいちいち怒られると心配する必要は無い。

家に帰ると聞こえる、勉強しなさいという声もなくなった。

晩御飯だって、魚ばかりの料理から、色んなものを使った料理にすることができた。



『高校、どうするんだ』


『南行こうかなって』


『公立か。あそこ...北は確か私立で1位じゃなかったか』


『学習点はたりてるけど...学費高いし』


『なんでお前が金の心配をするんだ。お前はただ、行きたいところに行けばいい』



父はいつも、私のサポートに回る。
塾にも行かせてくれたし、高校は私立にしてくれた。

大学も、ちゃんと通わせてくれた。

それは全て、私の希望通りに。


私はいつも、知り合いに無愛想な父親だとばかり言われていた。

でも、彼は愛想が無いわけじゃない。

使う必要が無いから、出ていないだけ。


実際私には優しくしてくれるし、私のことをよく考えてくれる。

仕事も、年収1000万超だ。

次第に私は、優秀なのは母ではなく父なのではないかと、心のどこかで思い始めた。