「娘さんですか?...あなたのお父さんが―――」



何も話が入ってこない。

“通報が入ったので向かったところ、父が首なしの状態で発見された”


首が無い体が生きているはずもなく、死体だと告げられた。

まだ救急車で搬送された、の方が良い。

...いや、死んだとわかった方がまだいいのか。


どちらにせよ、私は今と同じ喪失感を持って、今にも膝を地に着けそうになるだろう。



「...マンションの防犯カメラに映っていたこの男に、見覚えはありますか」



それははっきりとこちらを見ている男。
防犯カメラを、しっかりと見ている。


その事に背筋がゾワッとして、質問が頭から飛ぶ。



「え、っと...」


「見覚え、ありませんか?これが手がかりなんです」


「い、いいえ...父は関係の浅い人で、誰かに家を教えるなんて滅多にしませんでしたから」



質問を思い出して返す。

よりにもよって、なんで父が...



「......署まで同行して貰えますか?」


「...あぁ、はい」



午後八時、夜の空気が冷えるのを感じる頃の事だった。