待て待て待て、何が起きた?
え、夢?

自分の頬をつねってみて、夢じゃないことを実感した。

あの無口王子が女子と話した...?
しかも微笑んだ!?
こんなの他クラスの女子に見られたら殺される。

私は心の底から授業中で良かったと安心した。
横目で隣を見てみると無口王子がこっちを見ていた。

なんで見てんのよ〜!!

「あ、あのー。さっき見つめてたのはたまたまって言うか...」

「でも見惚れてんだよね?」

「まぁ、それは否めないっていうか」

「俺も見惚れてるって言ったらどうする?」

「ど、どうもしないよ。」

私は恥ずかしくなって顔を手で覆った。

「照れてるね。葉山さんの照れてるところ初めて見た。」

何なんだこれは。女子とは話さないんじゃなかったの!?
これが無口王子の正体なの?

「いや、照れてなんか」

弁解を試みたが、授業終了のチャイムでそれは失敗に終わった。

休み時間になると、女子が無口王子の席に集まった。

「ねぇねぇ廉くん!今日一緒に帰ろ!」

「何言ってんの!?私が帰るの!」

さっきみたいに話すと思いきや、「邪魔」の一言で教室を出てった。

何なのあの態度どっちが本当の無口王子なの?

私が頭の中でモヤモヤしてるのに「邪魔」と言われた女子は

「かっこいいー!!!」

と、叫んでいた。